『北九州の近代化遺産』&『福岡の近代化遺産』編纂事務局がお贈りする、出版散々回顧録・出版社非公認ブログです。とりあえず、今後の出版企画情報を逐次報告します。
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面白い物件で現存しており、また資料も集めやすい。そんな物件があります。それで紹介できない、いや掲載してはならない原因がある訳で、それは何かというと、「新しすぎる」ということがあるのです。
近代化の定義を年代の上で考えると、古くは開国前後といったところが当てはまりそうですが、新しいものをどこで区切りを入れるべきかという問題は、研究者ならずとも悩ましいところです。私は周りの中では最も範囲を広くとっていると自認している人間の一人ですが、その私でも下限は1964年まで、と言わざるを得ません。
で、この建築。設計は村野藤吾、出光興産の社主出光佐三の肝いりでこのような地方都市(とすら言えない集落)に建てられた、とても気合いの入ったスタンドです。竣工は1972年。72年、、、無理です。さすがにここまで入れてしまうと、近代化とか何とか言う言葉時代が嘘くさくなります。建物の質やまちなみに関する考え方自体が既に変質してしまっている時代を入れることには、さすがに抵抗があるんです。
惜しくも涙を呑んだ(そうせざるを得なかった)建築ですが、こちらで紹介することにより、若干は、報われたかな? とか何とか考えています。
近代化の定義を年代の上で考えると、古くは開国前後といったところが当てはまりそうですが、新しいものをどこで区切りを入れるべきかという問題は、研究者ならずとも悩ましいところです。私は周りの中では最も範囲を広くとっていると自認している人間の一人ですが、その私でも下限は1964年まで、と言わざるを得ません。
で、この建築。設計は村野藤吾、出光興産の社主出光佐三の肝いりでこのような地方都市(とすら言えない集落)に建てられた、とても気合いの入ったスタンドです。竣工は1972年。72年、、、無理です。さすがにここまで入れてしまうと、近代化とか何とか言う言葉時代が嘘くさくなります。建物の質やまちなみに関する考え方自体が既に変質してしまっている時代を入れることには、さすがに抵抗があるんです。
惜しくも涙を呑んだ(そうせざるを得なかった)建築ですが、こちらで紹介することにより、若干は、報われたかな? とか何とか考えています。
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COMMENT
このあたり、悩ましい。
2008/03/03(Mon)11:57:18
近代化遺産ではなく、近代遺産?
あるいは現代遺産? そのうち、ポストモダン遺産とか出てきそうですね...。確かにポストモダン建築遺産は既にあると思いますが。 あと、例えばネイブルランドやアジアパーク跡は「教訓遺産」として保存する、というやり方もあるかな...。 |
Re:このあたり、悩ましい。
「高度成長期遺産」(対象範囲は1945~1985(プラザ合意まで))
という位置づけが個人的には妥当かな、と思っています。 これ以降の建築はバブル期の贅沢さが見られますし、まあ、ポストモダンという位置づけからは少し離れた考え方にもなりますが。 >ネイブルランドやアジアパーク跡は「教訓遺産」として保存する、 う~ん、、アジアパークあたりは確かに当分の間置いておくのもありかと思いますが、今のように一部の業界が極端に好景気という現象が起こっているときは、余り参考にもならないかも、、、。 浮かれている人たちにダイレクトに気付かせないと、教訓にはなりませんし。 |
よくここ見る
2008/03/03(Mon)13:01:41
最初は変わったガソリンスタンドだな、とか思ってたけど、今は完全に風景の一部と化してた…。
今度よく見てみよ♪ |
Re:よくここ見る
>今は完全に風景の一部
村野建築は、変に浮いたりせず、日常の中にすんなりととけ込める建物なんですよ。 まあ、通りがけあたりにたまには気にしてやってください。 |
これだったのか
2008/03/03(Mon)22:09:57
新建築の作品集の作品リストでは宗像給油所は「現存せず」扱いになっていたのでよく分からずにいたのですが、これだったのですか! 宗像大社の前ですよね。
個人的には、近代化遺産の範囲は1954(昭和29)年までか、引き延ばしても1959(昭和34)年が限度かなと思います。 |
Re:これだったのか
>新建築の作品集の作品リストでは宗像給油所は「現存せず」扱いに
はい、宗像大社のド真ん前です。出光佐三が宗像大社の信奉者であったことが建物配置に影響しています(大社内部含)。現代建築は、近代のそれよりも建物所在がはっきりしていないこともあり、なかなかデータが当たりづらいですね、、、 >個人的には、近代化遺産の範囲は1954(昭和29)年までか、引き延ばしても1959(昭和34)年 私は、東海道新幹線の駅舎群が日本建築学会賞を貰ったところあたりが建築・土木が思想的にも質的にも変化したメルクマールじゃなかったかと思っています。以前が復興期、これ以降は高度成長期、という位置づけでしょうか。ここあたりの論はまだ修正の余地がありそうですね。 |
ガソリンスタンド
2008/03/03(Mon)22:32:26
ご無沙汰しています。
古くからのガソリンスタンドは、昨今の原油高のためか急速に消滅傾向にあるように思えます。特にガラス張りのRを描いた店舗をもつ'60~'70年代のスタンドが希少価値をもつのも、時間の問題かも知れませんね。。。 |
Re:ガソリンスタンド
今日のネタはレスポンスが多く、かなり驚いています。皆さん、こういった建物好きなんですね~。
>ガラス張りのRを描いた店舗をもつ'60~'70年代のスタンドが希少価値をもつ 確かに! 近年そのスタイルのGSが急激になくなりつつありますね。大物としては、昨年門司の出光九州支店跡の建物(こちらも村野設計説がかなり濃厚であった)が取り毀されており、今後しっかり記録しておかなければなりません。今のところ保存問題、というところまでは行きませんか。 |