『北九州の近代化遺産』&『福岡の近代化遺産』編纂事務局がお贈りする、出版散々回顧録・出版社非公認ブログです。とりあえず、今後の出版企画情報を逐次報告します。
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元々は旧制高校の外国人宿舎として西新は西南学院高校のすぐ近くに作られた建物群でした。同じような建物(二階建ての洋館が更に二棟あった、、、らしい)が川沿いにあったのですが、こちらは老朽化によって取り壊され、現在は九州大学西新プラザという名称で学生や同窓生に開放されています。宿泊も出来るそうなので、OB会館のような位置づけと考えて良いと思います。
こちらの建物も、有形文化財に指定されていますが、内部は使いやすいように適宜改修されています。改装の度合いが著しいものですから、国登録文化財かと思ったのですが、市の指定文化財だそうです。こういうやり方でも「あり」なのか、と思わせるのも何なのですが、何はともあれ改修と同時に建物を保存したという試みには敬意を表するほかありません。この調子で、箱崎キャンパスでもちゃんと建物群を保存して貰いたいものです。
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しかし、ここからが出版企画の不思議なところなのですが、最終局面に近くなって、
「東区の遺産紹介の部分に何か1頁文章が欲しい、既存のものを増やすか、新しいものを作るかして貰いたい」という話が持ち上がり、それならば、と執筆予定者の方が集めた資料と私の土壇場能力(そんなものがあるかどうかはともかくとして)を用い何とかまとめました。仕上がった原稿については、必要最低限の情報と遺産の見所だけはちゃんと押さえたと思うので、まあまあ満足しています。
個人的には、京都の平安神宮と並び称される昭和の神道系近代土木遺産ではないかと思いますが、ここらへんの判断は、皆様に実際見て貰うことで判定していただきたいと思います。
この工場のすごいところは、当初作られた施設群が現在、別業界の工場としてほぼ現状のまま使用されていることです。電化製品の会社ですので、工場見学が安易に出来るような所ではないとは思いますが、それでも、見に行きたいところのひとつだと言えます。敢えてそのままの形で居抜き進出に踏み切った当時の松下電器産業の経営陣、そして現在建物を維持管理しているパナソニックコミュニケーシヨンズ株式会社に謹んで敬意を表したいと思います。
私は昨年の学会でこちらの建物をしげしげと眺める機会に恵まれ(大学が近くにあるものの、なかなか用事がないとあえて行く気がしないんです。公務員試験の会場でここが多かったとか、嫌な記憶も多々ありますし)ましたが、改めて見てみると意外と面白い建物です。
部分部分が村野藤吾っぽかったり、今井兼次のようなところもあったり、ヴォーリズ? と思わせるところもあり。それらが全体としては教育施設然としてしまい、なかなか表に出てきません。そういった意味では、もったいない建物です。もう少し建物の設計に関わる経緯を調べてみれば、建物のデザインコードが分かって面白い文章になりそうな、そんな気がしました。
ただ、今回の企画では一応大学史の編纂室の方に文章を書いていただくことにはなったのですが、大学成立史のような文章となったもので、施設の面白さにまで言及するようなものとは成りませんでした。それが吉と出たか凶と出たか。ここあたりは実際に本を手にとってご確認ください。